ポリアンナ症候群

人として軸がブレまくり人間がそこから抜け出そうと色々やります

ユーラシア大陸に北東から突入してやりたい

 バックパッカーとか一人旅をしていると毎度毎度思うのがなんで自由っぽい人って欧米人の方が圧倒的に多いんだろうとかバックパッカー意外と日本人少ねえんだなとかいったとこでゲストハウスに帰ってねえなんで旅人って白人の方が多いんですかねってビール飲みながら隣の40代くらいの何して生きてるかよくわからない風体のくせにやたら髪フサフサのおっちゃんに聞いたらそりゃ奴らのが金も時間も余裕あるからだろって話になってあ、そうかって普通に納得して思考停止してビールに意識を戻した。

 でもそれからしばらくすると今度はじゃあなんで欧米人の方が金も時間もあるんですかねっていう話になってそりゃお前英語は世界一話者数の多い言語だし歴史的にも世界大戦で勝利してたり原油が取れたりとにかく金の元になるもんが向こうのほうが多いんだよっておっちゃんが言うとその向かいに座った俺と同い年くらいのいかにも外のバザールで買ったようなタイパンツを履いた若者が本当にそれだけですかねぇ、と会話に加わった。

 確かに資源とか文明とか街を作るのに最適な平地とかそういったものは向こうのほうがアドバンテージあるわけですけど、国とか人の強さってそれだけじゃないっすよねぇ社会構造とか政治とかなんて人間のアイデア次第だしそもそも人類がアフリカに誕生してから同じ年月が流れてるわけじゃないっすかぁその間に欧米諸国の人々が思いついたようなことを、なんでこっちの人は思いつかなかったんすかねぇ資源とか言い訳っすよ絶対、と彼はヘラヘラ語った。

 いやあ、別に責めてるわけじゃあないっすよ、ってか責めるっつっても誰をってハナシすけどねぇ良いとか悪いとかじゃないですし俺が明らかにしたいのは、と言うより明らかになって欲しいのは文脈っすよ。あるいは前後関係。物事と物事の繋がり。この世のどこかに人々が集まった。どちらの土地にもある程度の肥沃な土壌と、頑張れば栽培可能な食べられる植物が生えていた。でも一方の集団は農耕を始めたけど、もう片方はしなかった。相変わらず野山に混じりて無計画に竹を取りつつ万のことに使ってりゃあ良いんじゃねえのって考えたわけっすよねぇ。竹、いつかなくなっちゃうのに。いやこの竹ってのは喩えっすけどねもちろん。いづれにしても、その行動の繋がりに何があるのかってのが大事なきがするんすよ直感すけどねぇどうすか俺結構鋭くないすかぁ〜。

 それを聞いてへえなるほど最近の若い子は色々考えているんだねぇ見直したよ的な態度でおっちゃんはお茶を濁しビールを置いてトイレに向かった。彼の語った内容には僕も共感できる部分は多かったけれど、いささか規模が大きすぎてあまり実感が湧かなかった。スケールの大きい話は実際の行動に結びつきにくくてあまり好きではない。そう彼に指摘すると、いやぁでも気になるってかさぁ歴史とか習うけど肝心なとこ全然ワカンねぇじゃんほんとさぁと言い始めたので僕はジャレド・ダイアモンドの「銃・病原菌・鉄」という本を紹介した。先ほどの彼の疑問はだいたいこの本が一つの解を打ち立ててくれているからだ。グーグルで調べてなんか難しそうな本っすねぇ〜俺勉強苦手なんすよぉ〜と彼はいったけど彼なら問題なく理解できると思ったのでほうっておいた。

 というかそもそも僕が話してたのはそんな話じゃなくてバックパッカー欧米人ばっかだよねって話だったんだよねと僕がいうとぁあメンゴメンゴ話の腰折っちゃった感じっすかいやほんとそれっすよね日本人やっぱ排他的っつーか、あんまり世界とか出ない感じなんじゃないすかねええーと彼は言った。陸が繋がってないからだよねという僕の意見に対して彼はしかしそんなん関係ねーよと言ったのでいや海っていう隔たりは大きいよだってヨーロッパの連中普通に不法侵入で国跨いだりすんじゃん少なくともそーゆー時代はあってその人たちが今に続く文化を作ってるわけだしと言うと、え、でも日本からも実は陸路でいけるっすよ?と彼はとぼけた顔で言った。

えぇー?

うっそだ〜〜〜?

 いや嘘じゃないっすよマジで、俺調べましたもん確か夏の間だけっすけど稚内からサハリンに船出てんすよねぇなんとか号って奴がぁまあなんもなさそうなんで行くのやめましたけどぉそれ使った行けんじゃないすかぁぁぁああ、ビール無くなったしもう一本買ってコヨーお兄さんも要りますぅ?キングフィッシャーでいいすかいいすよねーじゃあ買ってきますねーお金はあとでヨロですースタスタスタ…

調べたら本当にあった。そして僕は思った。バイク買おう。

ユーラシア大陸に北東から突入してやりたい。