ポリアンナ症候群

人として軸がブレまくり人間がそこから抜け出そうと色々やります

kindle限定アジア・アングラ情報誌「シックスサマナ」がヤバイ

 やばい本を見つけてしまった。誰も見てなくても書かずにはいられない、そんな気がした。

 こんにちは、lee_fetiaです。

 最近めっきり見かけなくなりましたが、僕が小学校の頃には下校途中の学童保育の前に時偶、望遠鏡にもなる万華鏡を売るおじさんだとか、ピンク色と緑色に染め上げられたヒヨコを売るおじさんとか、まるでホタルイカのごとく発光するけん玉を売るおじさんだとかが出没しました。 「お金をあそこの電柱に吊り下げてある空き缶に住所を書いた紙と一緒に入れてくれたら、明日君の家にグッズを届けてあげるよ。」という、ホリエモンもびっくりのイノベーション精神溢れるC2C的マーケティングに僕は驚き、既存の常識に囚われない、まるで異世界から来たかのような存在に目を輝かせては、彼らが扱う怪しげなグッズを買うことを止める親を憎んだものです。そういった曖昧な、しかしどこか妖しげな魅力を持った存在は時代と共にその数を減らしていきました。しかし、現代でもそういった系譜は受け継がれていたのです。

 そう、kindle限定電子書籍という形で!!

電子書籍「シックスサマナ」とは

「人生再インストールマガジン」

 そう銘打たれるこの雑誌は、インドシナ在住20年オーバーの編集長クーロン黒沢によって刊行される、僕の知る限り最も濃いアジア情報誌だ。

 その対象は一発逆転を目論むはぐれサラリーマンから、日本に希望を失いかけたアラサー女子まで、読者を選ばないゲスい内容で定評を得ている。

 その内容故にメルマガサーバからもアップルの書籍アプリ審査からもリジェクトされたのだとか。

 説明ばかりでは始まらない。まずは第一号を紹介しよう。

シックスサマナ 第1号 海外移住促進月間

シックスサマナ 第1号 海外移住促進月間

もうまっぴらだ! 我慢の限界だ!

息が詰まる、ストレスたまる。

チェーンソーを振り回し、新橋駅で暴れまくるスーツの通り魔が

明日現れてもおかしくない、閉塞しきった日本社会。

早く楽になればいいのに……。

残された長いようで短い人生、自分らしく、幸せに生きる権利は誰にでもある。方法もある。

しなければならないのは決断だけ。

でも。そんな……?

煮え切らないあなたの背中をそっとやさしく押す、とっておきの一冊。

人間だって所詮は畜生。そんなにがんばらなくったっていいのです。

説明文からして最高だ。こんなに元気になれる一言は、なかなか無いのではないのだろうか。

さあ、声に出して読んでみましょう。「人間だって所詮は畜生」!

第一号からしてラーメン二郎もびっくりのこってり感、そして胸糞悪くなる悪徳がたっぷり!!(笑)

好きな人と嫌いな人とはっきり別れることでしょう。

この雑誌の魅力は、アジア・アングラ情報を現地の眼を通して見られるということはもちろん、著者自身も相当”ソッチ側”の人であるため表現にいちいちパンチが効いてることだ。新聞のコラムじゃなくkindle個人出版だからこそ可能な、「読みたいやつだけ、読めばいい。」そんなロックな魂がそこかしこににじみ出ている。

クズとしか言いようのない登場人物、炎上を恐れぬ描写。それらはいい子ちゃんが我が物顔で大通りを闊歩する現代社会において、まるで爬虫類の鱗のように邪淫な輝きを放っているように感じられる。

素晴らしい。どれをとっても、最上級のB級品だ。机いっぱいに涎を撒き散らしながら読もう。

せっかくなので特にオススメの巻を二つほど紹介します。

第12回 病める日本の処世術

シックスサマナ 第12号 病める日本の処世術

シックスサマナ 第12号 病める日本の処世術


これが一番痛かった。

この回のメインコンテンツは日本、埼玉県のコミュニティセンターで行われるセックス依存や薬物中毒、摂食障害アダルトチルドレンといった症状に関する自助会についてだ。盗撮で逮捕されたエリートサラリーマン、痴漢に目覚めた大学生、シャブにハマったサラリーマンなどの面々が登場する。

そのほかにも、会の最中に洗面器半分程度に達する涎を机いっぱいに垂らし始めるシャブ中のおっさんとか、AC自助会の主催者にもかかわらず不安定で、開口一番「俺の実家は裕福でね。子供の頃は御曹司なんて呼ばれてたよ。」と宣言する男などが登場する。

この回に出てくる人たちは日本在住の日本人ということもあって、そこに至る経緯に自分の日常と隣接したリアリティが感じられ読んでいてひやりとする。「こうはなりたくないな」という思いが一番沸いてきた回だった。

しかしそれでも、面白いものは面白い。

第22号 そうだ、刑務所へ行こう 人生丸ごと断捨離せよ!

シックスサマナ 第22号 そうだ、刑務所へ行こう 人生丸ごと断捨離せよ!

シックスサマナ 第22号 そうだ、刑務所へ行こう 人生丸ごと断捨離せよ!

コレもぜひ、声に出して読みたいタイトルだ。

「人生丸ごと断捨離」っていう発想、なかなか出てくるもんじゃない。

この回では窮屈な日本を飛び出し、アジアに渡ったは良いが旅の恥ならまだしも人生までかき捨て、セカシューならぬセカ囚となってしまった日本人たちを特集する。

相変わらずの度を越したアングラ感はいいんだけれど、この雑誌を読む楽しみの一つに、間違いなく「底辺を見下す喜び」みたいなものはあって、その背徳感もまたこの雑誌の味とも言えるのだけれど、読めば読むほど自分の性格が悪くなっていく気がする。

読むだけで犯罪係数が上がる雑誌って感じ。

しかし住み分けの行き届いた現代社会の都市生活を送っていると、時折どうしようもない窮屈さを感じる。そんな時に読むと、まあ人生なんて何とかなるぜみたいな気分になれる。

人間なんて所詮畜生だ。

おまけ

シックスサマナではないんだけれど、編集長のクーロン黒沢さんのかいた別記事にこんなものもある。

nihonzine.com

……なんていうか、濃すぎて、一日に読む量に限度がある。読んでいて、しんどくなる。

しかし読むだけで背徳感を味わえる。コレって実は凄いことだ。そして安穏とした日常の中では見つけることのできない問に目を向けることができる。コレがルポタージュ、ノンフィクションの醍醐味(のあくまで一種)ってやつだと僕は思っている。

すげえ、コレだから、この世は面白いんだ。

あと、第1回で作者が「アジア脳」という概念を提言していた。意味は以下のような感じ。

後進国に長くいると、自分が特別な存在であるかのような錯覚に囚われてしまう。これを私は「アジア脳」と呼んでいる。選民意識で性格がねじまがり、何かというと住まわせてもらっている国をなじり、現地人をバカにする。

この一文は読んでハッとした。この本を読んでいるだけでもあるいは陥りやすいかもしれない。気をつけたい。

※ていうか全然関係ない個人的経験なんだけど、大学での留年は若干これに近い感覚がある。長いこと大学にいるとまるで自分は「周囲よりわかってるやつ」であるかのような気がしてしまうのだ。嫌われるので気をつけよう。